臨床には”こころ”と”技術”の両方が必要(一部無料公開)

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傾聴や共感的理解などの場面で、多くの学習者が悩むのは、技術に心が伴わないことです。

技術的なことを学ぶ際に、本当に表層的なテクニック、方法論だけ教えられるために、実際の面接(現場)でそれをやると、血の通っていない無機質な対応にしかならないのです。

傾聴や共感といっても、「そうなんですね」「大変ですね」「辛かったんですね」という無機質な単語を口にするのが限界となってしまう。

そこに心がこもらない、心がついてこない、心が伴っていかない。

学習者や実践者の悩みは、そこにあるといってもいいでしょう。

じゃあ、対局にある「感情移入」はどうでしょう。

例えば、話を聞いているうちに、カウンセラーの方が泣き出してしまったとしましょう。

これはもう感情移入どころか、ただ「感情的になっているだけ」なので、セラピー効果など望めません。

クライエントも、お金を払って話を聞いてらおうとしたのに、泣かれたらドン引きです。

以前、ラジオの人生相談で、回答者が相談者にアドバイスしているうちに、自分が泣き出してしまったのを聴いたことがあります。

その結果、どうなったかというと、相談者が冷静に回答者を慰めるということに。

もう、こうなると茶番でしかありません。

共感というのは、感情的になることではありませんが、かといって感情を入れない無機質なものでもありません。

心があれば、共感はできる・・・というほど、単純なものではないということです。

心は必要なんです。

相手の悲しみ、痛み、苦しみ、そして喜び、充実感といった感情や感覚を感じ取る感受性は必要です。

そうした心のアンテナの感度を磨くことで、より共感しやすいところが出てきます。

しかし、同時にそれを「しっかりとした形」にしていくことで、カウンセラーが何をどのように、そしてどの程度共感できたのかが、クライエントにはより伝わりやすくなります。

この形にするというところで必要になるのが「技術」なんですね。

具体的にいえば、それが応答の力。

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