コロナウイルスから学ぶ「シェアの種をまく」

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コロナウイルスの影響は世界的に広がっています。

こうした緊急事態、つまり一人一人が困っている時や、一定の立場や境遇の人たちが困っている時こそ「支えあい」が必要になります。

しかも、ここ数年は「シェア」という概念が世界的な時流として注目され、それ相応の仕組みや活動も出てきました。

シェアエコノミーということで、シェアカー、民泊、代表的なものはウーバーやAirbnbなどですね。

しかし今回、コロナウイルスによる社会的困難では、この「シェア」があまり機能していない印象が否めません。

それは、シェアという概念を経済中心、利益重視、個人の利便性という限定的な捉え方で普及させてきたからではないかと思います。

このオンライン講座でも書いてきましたし、昨年末のセミナーでも受講者にお伝えしましたが、私はシェアの本質は「支えあい」「わかち合い」にあると捉えています。

誰かが困ってたら力になる。

誰かが苦しんでいたら、その苦しみをわかち合う。

昔、日本には「困ったときは、お互い様だから」と声をかけあう場面がありました。

今はどうでしょう?

そうした光景を目にする機会は確実に減ってきています。

それよりも目にする光景はむしろ逆です。

物の奪い合い、他人の言動の批判、誹謗中傷、不安を煽る行為・・・・

いったいそこから何が生まれるというのでしょうか?

電車で咳込むだけでケンカになる。

子どもたちが公園や校庭で遊ぶだけで、近隣からクレームが入る。

私たちはいつから、これほどまでに「自分のことしか考えない」人間になってしまったのでしょうか?

確かに、この状況下では電車内で咳込まれたら、「え?」と思うのは無理もないことです。

しかし「え?」と思うだけなのと、その相手に食って掛かるのとでは、全く別次元の話です。

子どもたちが外で遊んでいる。

屋内でも密集状態でもない空間とはいえ、これまでのように「無邪気でいいなあ」という気持ち以外の思いが出てくるのも、致し方ないかもしれません。

でも、子どもたちの遊んでいる姿をみて、親に文句を言ったり、学童などにクレームの電話を入れるというのは、これも話が全然違ってきます。

そしてこうした現象は日本だけでなく、世界中で起きていることのようです。

ドラッグストアの店員に食って掛かる人もいます。

このような大変な状況で店頭に立ってくれるだけでも「感謝」こそすれ、なぜ怒鳴りつけるという行為に至ってしまうのか?

答えは「自分さえよければいい」であり「自分のことしか考えていない」からです。

不安を抱えながらも、どこかよそ様のことにも思いを寄せる。

こうしたバランスが大きく失われてしまったように思います。

現在、よそ様への思いは、肥大する不安に完全に押しつぶされそうになっています。

こうした時こそ、知恵と工夫を働かす時ではないかと思います。

人間にはそうした知恵と文化があります。

「シェア=支えあい・わかち合い」も、その一つではないでしょうか。

今こそ、自分の中にある不安をしっかりと直視し、改めて冷静に物事を捉え、理性的な言動が求められる時です。

今後、コロナウイルスに端を発した「差別」「いじめ」「誹謗中傷」が深刻な問題になる可能性もあります。

こうした問題行動は「知らないことからくる不安や怖れ」が原因な場合もあります。

そもそも、そうした行為に至るその人の人間性もありますが、不安は人間を時には「悪魔」にしてしまうことがあります。

そして、不安や恐れは、時として無知からきます。

ですから、先ずはコロナウイルスやその周辺に対する正確な情報、的確な情報を「自ら獲得に動く」ことが重要だと考えます。

具体的には、スマホで情報にアクセスするだけも、全然違ってくるのです。

多くの人がテレビやネットで垂れ流されてくる情報を、何の精査もなく自分の判断基準に迎え入れてはいないでしょうか?

「この情報、本当かな?」「こんな情報ばかり目にしてていいのかな?」と、目に入る情報や自分自身の姿勢を建設的に疑ってみることも必要です。

ニュースサイトや情報サイトを検索して興味や疑問のあるテーマについての情報をいろいろ調べる。

その道の専門家を何人か追いかけて、発信している内容を比較検討する。

その過程で、自分で信頼できる専門家をハブとして、そのネットワークを辿り、さらに複数の専門家や情報発信者の情報を追っていく。

そして、その情報一つ一つに対し、自分の中に起こる反応を自覚し、次の情報にアクセスする。

このプロセスを終始冷静に、理性的に続けるだけでも、かなり事態を俯瞰できるし、落ち着いて過ごすことができます。

多くの人間が「こうだ」と言っているからといって、必ずしもそれが正しいとは限りません。

マジョリティーの考えを鵜呑みにするのは、思考停止以外の何ものでもありません。

トイレットペーパーが商品棚から消えないうちにストックをしておきたい。

一個人で考えたら正しい行動のはずが、それを多くの人が行うと、その行動そのものが品不足を生む。

一人一人の単位で考えたら正しくても、同じことを大勢の人がすることで問題が発生する。

これを経済の専門用語で「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」というそうです。

だから、多くの人が言っていること、やっていることだからといって、必ずしもそれが皆正しいということにはならない。

あくまでも「起きた現象に対して」的確な捉え方かどうか、適切な対処かどうかが重要になるのです。

先行きが不透明で、様々な問題が次々と発生している現状では、どうしても不安に押しつぶされそうになりがちです。

その不安(情報不足)から私たちは、ついつい自分勝手に考えたり行動しがちになります。

しかし、そうした状況だからこそ、一人一人の冷静さ、理性が求められます。

そう考えると、私たちはいつも社会問題や災害、事件などから様々なことを学び、成長してきました。

今こそ、コロナウイルスから何かを学ぶ時なのかもしれません。

もう一度、私たちの知恵と工夫で冷静さを取り戻し、しっかりと自ら情報を取りに行くことで「シェア(支えあい、わかち合い)」の種を蒔いていきたいと考えています。

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