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傾聴とは「相手の話を正確に聞くこと、聞けること」である。
私の私塾「臨床カウンセラー養成塾」では、傾聴についての言葉の定義をこのように統一しています。
まず、傾聴という言葉についてその意味や説明が、巷ではバラバラに行われていると思います。
しかし傾聴というのは実際に行う「行為」であり、言葉の定義がバラバラだとその「行為」をあるいは「スキル」をしっかりと実践していく上で混乱が生じます。
そこで養成塾では傾聴の言葉の定義を「相手の話を正確に聞くこと、聞けること」というふうに統一しているのです。
そして、相手の話を正確に聞くことが傾聴なので、傾聴トレーニングとは当然、相手の話を正確に聞くためのトレーニングであるということになります。
正確に聞くためには会話のやりとりを正確に記録化する必要が出てきます。
聞いた人間の記憶だけに頼るのは、あまりにも不正確ということになるからです。
そこで、正確な記録を残す際に、録画や録音などを器具を使って行います。
こうすればクライエントが何を言ったか、どんな話をどういう表現で話したか。
あるいはカウンセラーはどういう語句・表現・文によって応答したかまで、厳密にたどる(チェックする)ことができます。
そしてその音声記録や文字化された記録(逐語記録)を用いて、一つ一つのやり取りや一語一語について細かく検討していく。
傾聴という言葉の定義を「相手の話を正確に聞くこと、聞けること」と最初に統一することによって、このような一環した、もしくは体系化した学習やトレーニングが可能となるのです。
では次に「相手の話を正確に聞くこと、聞けること」とはどういうことなのか?
そのことについて考察していきます。
ここは具体的には会話の記録などを用いて説明するのが1番分かりやすいと思います。
そこで実際に傾聴トレーニングでなされたやりとりをもとに考察していきましょう。
それはあるロールプレイを検討していく場面での出来事でした。
話し手役にAさん、聞き手役にBさんが手を挙げ、ロールプレイが行われました。
10分ほどのロールプレイを終了し、話し手役のAさんが感想を述べ、続いて聞き手役のBさんが感想を述べている時のことでした。
Bさんが話し手役、つまりクライエント役のAさんがロールプレイの中って言ったフレーズについて触れたのです。
「Aさんが『克服したい』って仰っていて・・・・」と、Aさんの話についての自分の聞き手としての捉え方について述べていた時でした。
私は聞き手役のBさんが話し終わった後に、少し意地悪な質問をしました。
「Bさん、Aさんの言い方は『克服したい』と言う言い方でしたっけ?」
一瞬、Bさんは私の質問にキョトンとしていました。
私から何を質問されているのかがわからない様子でした。
そこでもう一度私は聞き手役のBさんに質問し直しました。
「Aさんは『克服したい』と言ったのでしょうか?それとも『克服できる人間になりたい』と言ったのでしょうか?」
聞き手役のBさんはしばらく考え、思い出そうとしていましたが、どちらかははっきりしないようでした。
そして今度は、私はAさん自身に向かって、こう投げかけました。
「Aさん、Aさんの言い方は『克服したい』でしたっけ?それとも『克服できる人間になりたい』でしたっけ?」
するとAんは私の目をまっすぐに見て・・・・・・・・・・・・
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