カウンセリングは治療か
「カウンセリングで治す」時々耳にするこの表現に、心理カウンセラーである私は多少の違和感を覚えます。
そもそもカウンセリングで行っていることは治療なのでしょうか?
確かにカウンセリングというのは心理療法の一つに数えられ、うつや神経症などの心の病に悩む方々の心理的な援助の一つの方法として位置付けられてはいます。
そして時にはカウンセラーの中にも「カウンセリングで治す」という表現や考え方をする人間もいます。
もちろんカウンセリングで心の病を治すとか、治療するという考え方は間違っているとはいえません。
カウンセリングに訪れるクライエントは、自分の問題を解決したいとか、心の病を治したいという一心で来られる人もいますし、実際に改善していくので、そういう意味でいえばカウンセリングが治療の一助になりうるということはいえます。
しかしながらクライエントはともかく、カウンセラーが治療するとか治すという気持ちを持ってカウンセリングに臨むのであれば、これは少しずつその対応に狂いが生じてくることは否めないのです。
あのロジャーズでさえも、カウンセラーのことをセラピストと表現している記述もみられます。
しかし、基本的にカウンセリングにおいて最も重要な要素、姿勢としてロジャーズが挙げているのはあの三つの条件です。
■共感的理解
■肯定的配慮(積極的関心)
■自己一致(純粋性)
この三つがカウンセラーにとって大変重要な姿勢として求められるのだといい、臨床経験60年の中から導き出されたものとして、今もカウンセリングの基本的な概念として教え受け継がれるものです。
この共感的理解にしても、肯定的配慮にしても、自己一致にしても、そこに治すとか治療するという考え方が入り込むと、この三つの姿勢を徹底することに支障をきたすと私は思っています。
治すという概念が入り込む余地がない?
カウンセリングにおいては、この三つの姿勢を50分なり60分なりの面接の中でカウンセラーは貫くことに専念します。
なぜならば、ロジャーズがこの三つの姿勢に専念できればできるほど、それだけカウンセリングの目的やクライエントの人間的成長を生じさせるのだとし、これまでの数多くの臨床家も自身の臨床経験からこの仮説の正しさを、身を以て経験し、世に説いてきたからです。
カウンセリングの中でカウンセラーが共感的理解と肯定的配慮、さらにはカウンセラー側の自己一致に専念すればするほど、カウンセリングは深まり、それに伴ってクライエントは変化していくというのです。
しかし、この三つの姿勢を貫くことに専念する際に、そこにクライエントを治そうとか治療しようという概念や気持が入り込むことによって、これら三つの姿勢を維持するという作業に、微妙に狂いが生じてくるということを、多くの臨床家たちが経験してきているし、また私自身も経験してきています。
私はカウンセリングにおいて一番心がけているというか、神経を集中して取り組んでいることは何かと聞かれたら、それは・・・・・
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