人間関係の問題解決とカウンセリング<2>【事例演習】(全文無料公開)

【事例】友達関係に関するA君の話

A君は小学校5年生です。4年生まではどちらかというと一人遊びが多く、学校の休み時間も友達とあまり一緒に遊ばず、放課後も友達と約束することもなく、家でビデオを観たりゲームをしたりして時間を潰していました。

母親はそんなA君を心配していましたが、「たまには友達と遊んだら」という言葉をグッと飲み込んでA君の生活を見守ろうと決めていました。

母親にすれば、A君が友達とあまり遊ばず、休み時間も一人で過ごすことが多いという事実が心配でした。

担任のF先生によると、クラスにいじめはないということでした。

母親にしてもF先生は信頼できる先生でしたし、A君自身の話や様子を見ても、学校でそれほど嫌な経験をしている感じもなかったので、A君が自分から動くまでは見守ろうと決めたのでした。

そして5年生になってA君のなかで徐々に「友達が欲しいな」「友達と遊びたいな」という気持ちが芽生えてきたのか、A君自ら放課後に友達との約束をしようと動くようになりました。

そんなA君の様子を察したF先生は、A君と比較的うまが合いそうなT君とO君の二人組にA君と一緒に遊ぶように働きかけました。

そしてT君とO君にA君が加わり、3人が一緒に遊ぶようになりました。

3人はいつも一緒に休み時間も遊び、放課後も約束をしてそれぞれの家に遊びに行くようになりました。

A君もT君やO君と3人で遊ぶのをとても楽しそうに母親に話すようになりました。

T君もO君もどちらも自分の思ったことはストレートにぶつけるタイプの子どもでしたので、時々ケンカをしてはまた遊ぶということを繰り返してきました。

そこにA君はある意味上手に参加し、3人は楽しそうに遊んでいました。

この間T君はこんなことをやった。O君とはこんなことを話した。A君はそうした話をとても楽しそうに母親に話すようになりました。

そんなA君を見ていてA君の母親もA君が友達関係づくりの第一歩を歩み始めたようだと一安心していました。

ところがある日、A君の様子が少し変だということに母親は気付きました。

A君はお笑い番組を一緒に観ていましたが、途中で次のように言いました。

「なんか見てても笑えない・・・・」

そう言われてみれば、A君はいつもなら大笑いしながら観ているその番組を、なにか面白くなさそうにというか、元気がなさそうに観ていましたし、ほとんど笑っていないことに気付きました。

そこで母親は次のように応じました。

母「なんか笑えないの?」
A「面白いんだけど、面白いはずなんだけど、なんか笑えないんだよ」
母「本当は面白いはずだけど、観ていても笑えない。笑える気分ではないということ?」
A「・・・・よくわからない・・・・」

A君はあまり多くを語りたくないのだと察した母親は、そこで会話を止め、しばらく様子を見るしかないなと思いました。

ここで無理に聞き出そうとすることでA君が口を閉ざすようなことは避けたかったからです。

その後A君はT君とO君がケンカしてしまったことについて話し始めました。

A君によると、やはり元々O君とT君はよくケンカをして、もう絶交だと言ってはまた遊ぶという関係だったそうですが、今回のケンカはいつもよりも激しかったようで、その後、O君とT君とが一緒に遊ぶことはなくなり、A君はそれ以来O君と2人で遊ぶようになったのだということでした。

この話を聞いて、A君の母親はケンカしたわけではないA君もT君と遊ばなくなったことが腑に落ちませんでした。

そこでタイミングを伺いながらA君にその件をこう聞きました。

母「ねえ、あなたもT君と遊ばなくなったようだけど、あなたもT君のこと、なにか嫌だなとか思うところがあるの?」
A「T君は自分勝手な所は確かにあるし、怒るとすごく怒っちゃうし、空気が読めないところもあるし、そういう所は嫌だなとは思う」

母親はこれを聞いてA君がそれぞれの人となりや関係性を冷静に言葉にしたことに少し驚きながらも、A君はT君を完全に否定的にみているようでもなさそうだと感じました。

なぜなら、A君は「○○なところもあるし、そういう所は嫌だなとは思う」という言い方であったこと。

また、語っているA君の様子は、T君に対して嫌悪感を感じているようなものではなかったと思えたからです。

しかし、母親は同時にA君がどこか歯切れが悪いなと感じるところもありました。

結局その時はそれで話が終わりました。

その後もA君はO君と約束をして遊んでいましたが、T君とは遊ぶことはありませんでした。

母親はその間もずっとこの件が気になっていました。

数日後、A君とお風呂に入っていた母親は、もう一度T君のことについて率直に尋ねてみることにしました。

母 あなたは、今はT君のこと、どう思っているの?

すると、A君はしばらく間をおいてから、重い口を開くように、こう話し始めました。

A ・・・Tは俺の悪口を言っていたんだ・・・
母 T君があなたのことを悪く言っていた?
A 本当は俺と遊びたくなかったんだって、そう言ってたって・・・
母 それは誰があなたに言ったの?
A O君が言ってた。俺が入って、本当は嫌だったってO君に言っていたんだって・・・O君もそうやって陰で言うのが嫌だったって言ってた。
母 ・・・そう・・・・そう言われていたって聞いたのね。それは・・
A ・・・すごく嫌だった!

A君は顔を赤くして、とても悔しそうに、そして残念そうにそう言いました。

問題
A君、そしてO君、T君の間に何が起きたのでしょうか。それぞれの子どもたちはどんな立場にたっているといえるでしょうか。このケースについて自由に記述してみてください。

この問題の解答と解説は、次回のコラムにて詳述します。

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