心の世界の難しさ
今回は、拙い経験からではありますが、私のカウンセリング観とでもいいますか、カウンセリングへの思いをお伝えしたいと思います。
私は自分の進むべき道の一つとしてカウンセラーという仕事を30半ばにして選びました。
この道を選択するにあたっては様々なことを考え、調べ、自分なりに納得をしてこの世界に入ってきました。
しかしながら、やはりどの世界でもそうだと思うのですが、実際にやってみなければわからないことというものはたくさんあるもので、それはこのカウンセリングという臨床の世界でも全く同じことでした。
私がこの世界で仕事し始めてから、つまりカウンセラーとして臨床活動に携わるようになってから痛感することがいくつかあります。
そのひとつは、人の心というものは本当にわからないのだということを臨床経験を積めば積むほどに思い知らされるということです。
以前ある河合隼雄氏が「心の専門家というのは、人の心というものはわからないものだということを誰よりもわかっている人間なのだ」と書いていたことがありましたが、それはまさにその通りだと思います。
この仕事は経験を積めば積むほどわからないことが次から次へと出てくる難儀な仕事でもあります。
やればやるほどわからなくなる。
取り組めば取り組むほど難しくなる。
感覚的に表現するならばそういう表現になろうかと思います。
そういう経験の連続の中で、私自身も経験の浅い頃は「自分は心理療法の世界でやっていけるのだろうか。カウンセラーとして続けて取り組んでいけるのだろうか」という思いに何度もなりました。
必死に取り組めば取り組むほど、ますますわからなくなる。
答えが見つかりそうだと思った途端、それは自分の早がてんであったり、勘違いであったりする。
そういう現実に直面するたびに、自分はもうダメなのではないかという気さえしてくるのです。
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