最終的に影響するもの
私がこの世界に入って痛感することのもう一つ、それはカウンセリングや心理療法というものは、最終的には応答技術とかではない「人そのもの」なのではないかということです。
私の師匠は「結局、究極的に人間が人間に影響されてゆくのは何かというと、言葉じゃない。結局その人からどういうものがかもし出されているか、漂っているかにかかっている。もう技術や方法じゃなく、最終的にはその人、まさに人だとしか思いようがない」といいます。
私は初めにこの言葉を聞いた時、頭では理解ができました。
おそらくそうなのだろうと・・・
しかし、臨床活動の中で様々な難しい場面に直面するにつれて、この言葉の意味が自分の両方の肩の上に重くのしかかってくるようになっているのです。
何を言ったか。どんな言葉を使ったか。どんな動き方をしたか。
これら一つ一つも、その中からかもし出されるもの、そこから漂ってくるものに、最終的に人は心を動かされるのだということになります。
自分が相手に何らかの働きかけをしているとして、その時の自分の内面、人間性などが勝負を分けるというのは、なんとも厳しい話ではないかなと思うのですが、同時に相手(クライエント)の人生がかかっている場面においては、厳しいなどといってはいられないという切実な状況もあるわけです。
そして現に、これまで名のある臨床家も、技術や方法ではないところで、相手に影響を及ぼしてきているのだなということがわかるようになってきました。
実際、臨床経験40年以上だった私の師匠も、何よりもその人間性というか、人間力というのか、何ともいえない力を感じさせたので、その一言一言に限りない重みを感じたのです。
そして同じような言葉を私たちが発するのと、師匠が発するのとでは、これはもう明らかに段違いのものが伝わってくるのです。
こうした人間性というか影響力があれば、クライエントの心は動いていくであろうと思わずにはいられないほどの力を感じるわけです。
最終的には人だといわれてしまうと、もうそれはみもふたもない感じにさえなってしまうのですが、しかしながらカウンセリングで最も大切で、最も大きな力となるものは、やはり最終的な人間性であると認めざるをえないなと思います。
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